コイルガンを警察署で回収してもらった話

銃刀法が改正

2024年6月に銃刀法が改正され、今までぎりぎり合法だった電磁石を使用したコイルガンの所持と製作や販売、作り方の公開などが完全に違法化されました。そして突然違法化されても持っている人は困っちゃうために。半年間ほど無償で全国の警察署で回収しています。

(2024年6月)銃刀法が改正されました!|警察庁Webサイト

詳しくはこちらに書いてあります。

実は所持していた

実は僕もコイルガンを所持していました。10年ほど前に作ったものが実家に眠っています。そしてつい先日にyoutubeでコイルガンを撃っている割かし有名だった人が逮捕されたという報道を目にしました。

凶器か?玩具か?コイルガン所持の男性を逮捕 “実験・化学好き”愛好家との境界線とは 元刑事「殺傷能力がある改造銃にすれば該当」(ABEMA TIMES) – Yahoo!ニュース

あれ?コイルガンでまだギリギリ回収期間内だし、逮捕されるのはおかしくないか?と思いました。どうやらリボルバーの機構が実銃と全く一緒だったので「実弾入れれば撃てちゃうよね?」という理由で実銃の扱いで逮捕されたらしいです。揚げ足がひどすぎるだろ…プラスチック製で強度不足で発砲できないだろうし。

ともあれ、本当に逮捕者が出てしまったら話は別です。ニコニコやyoutubeでアップロードしていた(もう非公開にしました)ので警察からもマークされている可能性を考慮して急遽コイルガンを警察署へもっていくことにしました。ニコニコ技術部のタグで1位になったこともあるので目立っちゃってたかもしれないし怖いですね。ちなみに僕のコイルガンの動画を紹介しているネットニュースみたいなサイトはまだ生きていましたw

アルミ缶を貫通する威力! コイルで銃を作ってみた

無実なのに家宅捜索されて部屋を荒らされてはそれまた困るのでこのブログでもコイルガンを提出したお話をまとめておこうと思います。

所持していたコイルガン

僕はコイルガンを10年前くらいにウィキペディアなどを見て回路を勉強して自作しました。そのコイルガンはこちらです。

仕組みは一般的です。バッテリーの電源をDCDCコンバータで250Vまで昇圧してキャパシタに蓄電します。直列にしたツェナーダイオードで充電電圧を検知し、トライアックによるスイッチングのコントロールで放電します。放電時間のコントロールはされておらずキャパシタが放電完了する時間がちょうどプロジェクタいるを引き戻さないくらいの時間になっています。

威力は固定していないアルミ缶を両面貫通するくらいでコンデンサの容量は92J、効率から計算すると出力は5Jほどになっているかと思います。

機関部の中身は2階層の基盤に分かれていてDCDCコンバータの昇圧部と充電電圧の検出部に分かれています。電圧計も備えています。結構密度の高い設計を中学生の時にCADもまともな設計図もお金もなしによく作ったものです。

コイルガンを届け出に行く前準備

まずインターネット上に公開していた動画を消すところからです。銃刀法違反とは関係なしに別の法律でこのような兵器(笑)を公開することも禁じられてしまったので閲覧できないようにします。ニコニコとyoutube両方見れないようにします。無断転載に関してはもう知らん。

全国の警察署ならどこでも無料で回収しているらしいので持っていきます。

一応こちらが警視庁から掲示されている資料になります。これで警察署に届けたらその場で逮捕なんてことがあったらシャレにならないのでそのようなことがないようにしっかり回収期間内かどうか確認します。

そして、作成しておくべき資料もあります。

警察に処分をお願いするための紙です。所有権を放棄するよってことと後からやっぱり返して!って言わないよってことを同意します。コイルガンの製作は中学生の時の思い出なので少し寂しいですね。その他の長い文章は警察側が受け取ったコイルガンをどう扱えばいいかが書かれています。

シュタインズゲートの岡部倫太郎がタイムマシンの作製に成功したけれども少しずつ世界が狂ってセルンに監視されて取り返しがつかなくなってしまう。そして最終的にタイムマシンの開発を放棄するオカリンの気持ちが少しわかりますね。

こちらから警視庁の書類のアクセスできます。

rei01_PDF.pdf

警察署にコイルガンを届ける

全国のどこでも受け取ってくれるらしいので最寄りの警察署へ行きました。途中で職質されてこんなもんを持ってるのがばれて軽犯罪法で捕まる可能性を考慮して一応輸送にはかぎのかかるバッグで行きました。

警察署に入ってからは渡すべき場所は生活安全課らしいですが当日は土曜日でお休みだったので代わりの人が受け取ってくれました。「すみませーん。コイルガンを持ってきたんですけど…」って言ったら全員が立ってワラワラ集まってきてしまいました。そりゃチー牛みたいな見た目の大学生が兵器(笑)を持ってきたらテロの可能性ありますからね…

みんな興味津々で

  • いつ頃に作ったのか
  • どんな目的で作ったのか
  • 趣味は?
  • 普段何しているの?
  • 大学はどこ?
  • 銃身の長さどのくらい?
  • ライフリングあるの?
  • どういう仕組みで撃てるの?
  • 撃っていい?
  • いくらぐらいかかるの?
  • 将来の夢は?

などめちゃくちゃ根掘り葉掘り聞かれましたね。というか当たり前だろうけれどもここの警察署でコイルガンを届けられたことが初めてらしく、どう扱えばいいのかよくわからずに県警などの上の組織に電話でどう扱うべきかを問い合わせていました。

最後に本人確認のために免許証を提示して指差しの写真を一眼レフで撮影されて終わりました。取り調べ室に閉じ込められたわけでもなく受付のカウンターで1時間くらいかけていろいろな尋問?が終わり解放されました。

最後に

安倍晋三元内閣総理大臣の襲撃事件があってから自作でさえ銃の規制がより強くなってしまいました。私は自作の銃などの平気で誰かを襲撃するつもりはありませんが厳しくすることに反対です。それはこのような悪戯のようなことを通して工業の礎となる興味があふれ、将来の産業を担うと思っているからです。これらを規制したコイルガンが悪いわけではなく発砲する人間が悪いのです。

ですが、法律に違法だと規定されてしまったら仕方ありません。電子工作が趣味の私にとってこのようなものを作ることはたやすいことですし、誰かに教えることもできますが、このブログでも作り方を公開することも行いません。もしこっそり作りたい人がるなら自衛隊の兵開発の部門に行きましょう。



Author: うに

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です